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2012年 12月 30日 (日) 20:27:55 JST


PubmedID: 22575959
日時: 2012/12/29 11:12:31
投稿者: 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 駒田研究室 ダオチャラッド ブラナさん
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タイトル: Wnt受容体FrizzledのE3酵素が同定された(その1)
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Wnt受容体である7回膜貫通型の細胞膜タンパク質FrizzledのE3酵素を同定した論文です。

この研究は、著者らがWntシグナルの新たな標的遺伝子として、互いに高い相同性をもつZNRF3 (zinc and ring finger  
3)とRNF43 (ring finger 43)を同定したことから始まっています。ZNRF3とRNF43は細胞内領域にRING  
fingerをもつ1回膜貫通の細胞膜タンパク質です。これらがFrizzledとその共受容体LRP6の複合体に細胞膜上で結合し、Frizzledをユビキチン化してFrizzled/LRP6複合体の細胞膜レベルを低下させることが示されました。他の細胞膜タンパク質の場合と同様に、このユビキチン化はFrizzledやLRP6をリソソームに輸送して分解するシグナルとして働いていると述べています(実験的根拠はありませんが)。したがって、ZNRF3とRNF43はWntにより発現誘導されてその受容体をダウンレギュレーションする、Wntシグナリングのネガティブフィードバック因子として働いています。

さらにこの論文は、ZNRF3とRNF43の新たな活性調節機構を明らかにしています。R-スポンジンという分泌タンパク質はWntシグナルを増強する機能をもつことが知られていましたが、そのメカニズムははっきりしていませんでした。著者らは、R-スポンジンが細胞膜上のZNRF3に結合し、LGR4という細胞膜タンパク質と協同でZNRF3の細胞膜レベルを低下させることを示しています。すなわち、R-スポンジンはZNRF3をダウンレギュレーションしてFrizzledのユビキチン化を抑制することによりその細胞膜レベルを上昇させ、細胞のWnt応答性を増強することが明らかにされました。

最後に、ゼブラフィッシュ・ツメガエル・マウスの個体レベルでZNRF3とRNF43の機能を阻害するとWntシグナル過剰の表現型が見られることから、in  
vivo でもFrizzledのユビキチン化がWntシグナルの量的制御に重要であることが示されています。(次のスレッドに続く…)
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