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2016年 7月 6日 (水) 13:15:09 JST


PubmedID: 27090638
日時: 2016/07/06 01:07:09
投稿者: 名古屋大学大学院理学研究科 分子修飾制御学グループ 奥村 文彦さん
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タイトル: pVHL依存的なB-MybとHIFαの分解はそれぞれ独立してVHL病を制御する
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VHL病(フォン・ヒッペル・リンドウ病)の発症メカニズムは解明されつつあり、ユビキチンリガーゼpVHLがその基質分子であるHIFαをポリユビキチン修飾し、プロテアソーム依存的にHIFαを分解し、HIFαの量を制御する、という機構の破綻によるものである。しかしながら、ひとつのユビキチンリガーゼが複数の基質分子を認識するケースが知られていることや、活性型HIFαをマウスに発現させてもVHL病を完全に再現できないことなどから、「HIFα非依存性」の未知の発症メカニズムの関与が考えられています。

1、pVHLの新規基質を探索した結果、転写因子B-MybをpVHL結合タンパク質として同定した。
2、B-Mybはvascular endothelial growth factor(VEGF)受容体やplatelet-derived growth factor(PDGF)受容体依存的にその15番目のチロシン残基がリン酸化される。
3、B-Mybはチロシンリン酸化を受けるとpVHLに認識されにくくなり、安定化する。
4、B-MybをノックダウンしたpVHL欠損細胞株786-O細胞をヌードマウスの皮下に移植したところ、コントロール786-O細胞と比較して、数十倍の大きさの腫瘍を形成し、腫瘍形成能の著しい亢進が認められた。
5、B-Mybは転写因子であるので、マイクロアレイ解析により検討した結果、HIF経路で制御されている遺伝子群の有意な変動は認められなかった。
6、B-Myb欠損による腫瘍形成能亢進はHIF経路「非依存性」の経路を介していることが示された。

B-Mybが制御する遺伝子群の多くは機能未知であり、また多種類のnon-coding RNAの発現量も変動していることから、今後それらの遺伝子群の解析が進むことで、現在は未知であるが、B-Myb依存的な特定の経路が同定される可能性があります。これらの結果はB-MybがHIF経路とは別の経路を制御することでVHL病の発症や進行を抑制していることを示唆しています。

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