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2014年 1月 3日 (金) 13:26:07 JST


PubmedID: 24158909
日時: 2014/01/03 01:01:07
投稿者: 東京大学薬学部 蛋白質代謝学教室 石?美穂さん
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タイトル: Rsp5/Nedd4 networkによるα-synuclein毒性の抑制
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パーキンソン病などの神経変性疾患で異常蓄積が見られるタンパク質であるα-synuclein(α-syn)のもたらす毒性がRsp5/Nedd4 networkにより抑えられることを示した論文です。
筆者らはyeastを用いたscreeningを行いα-syn毒性を抑える化合物としてNABを得ました。NABがα-syn毒性により見られるROSの産生や小胞輸送阻害などのphenotypeを抑える作用をもつことが示され、つづいて新たに行ったscreeningの結果からNABの作用部位は酵母のE3 ligaseであるRsp5(哺乳類のNedd4)であることが示唆されました。Rsp5に変異がある場合、NABのα-syn毒性を抑える効果が弱まることが確認され、さらに、α-syn存在下でのRsp5-dependentなタンパク質輸送の阻害がNABにより解消されることが示されました。しかし、NABの作用によるα-syn levelの変化は見られず詳しい作用機序の解明が待たれます。今回発見されたNABによるRsp5を介したα-syn毒性の低減は神経変性疾患の新たな治療法へとつながることが期待されます。 
またyeastを用いたscreeningから得られた化合物の効果を神経細胞、患者由来のiPS細胞を使った実験で確かめるという筆者らが用いたアプローチはパーキンソン病以外の神経変性疾患でも有用であると考えることができ、今後の可能性に期待できます。
なお、この論文と同時に同じ研究室からもう一報論文が出ています。(Science. 2013 Nov 22;342(6161):983-7)
こちらの論文では、以前から 神経変性疾患の発症との関わりが知られていたニトロソ化ストレスとα-syn毒性との間に直接的つながりがあることが初めて示されました。そしてα-syn用量依存的に起こるニトロ化が今回発見されたNABにより抑えられることが確認されました。
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